アメショーブログ 4837『九匹の猫と生きた二十年』75

(9/30)  猫が特権意識を持つのかどうかは分からない。 ジロが北側の部屋へ参入できるようになった頃から、クーだけの特権であった玄関外の散歩にもジロが加わった。 モモの一回目の隔離生活を開始した頃から始まった、クーの散歩タイムである。 私が外出する時に玄関のドアを開けると、毎回見送りをするクーは外の世界に興味を示すよう…
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アメショーブログ 4836『九匹の猫と生きた二十年』74

(9/29)  女帝モモが二度目の子離れを開始して、我が家は再びリビングのドアを閉鎖する日々が始まった。 モモとウミの出産期間中、ドアは解放されて一族は家中を自由に行き来していた。 一度自由を与えられると、再びの閉鎖生活は猫たちにとっては心地良くないらしい。 閉め切られたドアの前で、廊下の向こうの北側の部屋を眺める猫たち…
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アメショーブログ 4835『九匹の猫て生きた二十年』73

(9/28)  ジロとタロは相変わらずの引っ付きブラザーズだった。 ジロを見れば、いつも隣にタロがいた。 長い年月、玄関の前に設置されただんごベッドはジロとタロの専用だった。 たまに我が家を訪れるジロが大好きな私の友人との時間も、ジロには至福の時だったと思う。 友人が帰る時は毎度寂しそうなジロだったが、すかさずタロ…
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アメショーブログ 4834『九匹の猫と生きた二十年』72

(9/27)  再度の子離れをしたモモに代わり、コジロに多くの愛を注いだのはやはりウミだった。 前回の四匹の子ども達同様に、ウミはコジロと、そして自分の子どものチビタを分け隔てなく可愛がった。 出産時には臆病な性格があからさまになったウミだが、フレンドリーで愛情深い性格にはみんなが助けられた。  飼い慣らされた猫…
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アメショーブログ 4833『九匹の猫と生きた二十年』71

(9/26)  モモとウミの同時出産を機に解放されたリビングのドアは、モモの子離れ開始によって再び閉鎖しなければならなくなった。 約七カ月間、家中好きな場所で自由に過ごしていた一族は、またリビングに限定された生活を送ることになった。 かわいそうなのはコジロだった。 威嚇されてもモモの側に寄り添おうとした。 毎回…
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アメショーブログ 4832『九匹の猫と生きた二十年』70

(9/25)  二度目の出産を終えた直後のモモは、前回と同様に良き母親だった。 モモの仔猫の内、ランボーは酒屋さんの子となり巣立って行った。 活発で大柄なランボーに不安はなかった。 ましてや行き先は、よく知った酒屋さんである。 配達のたびに、その様子も知らせてくれる。 健やかに幸せに過ごしていると分かった。 …
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アメショーブログ 4831『九匹の猫と生きた二十年』69

(9/24)  キッチンの中で猫缶を開けると、大合唱が始まるのも相変わらずだった。 まず四匹の皿をキッチンの床に並べ、三つの皿を持ってキッチンを出る。 入れ違いにジロ・タロ・ハル・ハナがキッチンの中に入る。 私はクーの名を呼びながら窓際へと誘導する。 モモとウミは所定の場所で待っている。 待っていれば皿が運ばれて…
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アメショーブログ 4830『九匹の猫と生きた二十年』68

(9/23)  コジロもチビタも既に離乳していた。 九匹となったクー一族の毎度の食事は大仕事だった。 食事の場所も、コジロとチビタはケージの中と決めた。 食欲旺盛な他の一族の中で、一緒に食べさせるわけにはいかない。 仔猫たちはまだ、自分のペースでしっかりと食べさせなければならないのだ。 一旦隔離生活を経験したモモ…
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アメショーブログ 4829『九匹の猫と生きた二十年』67

(9/22)  帰宅した私と仔猫を、夫と娘とクー一族は出迎えた。 駅から自宅へ向かう道中、仔猫を連れ戻し帰宅することは電話で報告済みだった。 「よくこんな無茶を」 夫は苦笑した。 「無茶で強引。お店にはよくお詫びしてきた。でもこれで良かったんだよ」 私は答えながら、キャリーをリビングの真ん中で開けた。 仔猫…
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アメショーブログ 4828『九匹の猫と生きた二十年』66

(9/21)  私の心の声が聞こえたのだろうか。 仔猫は格闘をやめて私を見た。 先刻、店のカウンターの上で訴えるように私を見つめていたその瞳を、私はしっかりと受け止めた。 仔猫は視線を外さない。 「ごめんね。迎えに来たよ!」 私はケースに近寄り、声に出して言った。 仔猫はアクリルケースをガリガリと引っ掻いた…
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アメショーブログ 4827『九匹の猫と生きた二十年』65

(9/20)  電車を二駅乗り継いで下車した私は、改札を抜けて街中を走りだした。 六時間前に仔猫と共に歩いた道のりだが、その時は景色も違って見えた。 否、仔猫と共に歩いた時は景色など目にも入っていなかったのだ。 あの子にまた会える、あの子と共に暮らせる・・・。 私は歓びを炸裂させて走り続けた。 ビルのエスカレータ…
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アメショーブログ 4826『九匹の猫と生きた二十年』64

(9/19)  私の中の思いは、受話器の向こうの女性に伝わったのだろうか。 女性はしばらくお待ちくださいと言って、受話器を保留にした。 恐らくオーナーと相談したのだろう。 私は祈る思いで携帯を握っていた。 オーナーが了承すれば、仔猫は我が家に戻る。 ぎりぎりになっての強引な要望だ。 私には、二年前に四匹の仔…
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アメショーブログ 4825『九匹の猫と生きた二十年』63

(9/18)  スーパーのカゴの中の食品を全部戻して、私は駅へと向かった。 歩きながらペットショップに電話をかけた。 腕時計の針は、午後五時半になっていた。 受話器の向こうの女性に名乗り、何度も謝罪しながら仔猫を取り戻す旨をお願いした。 無茶は承知の上だったが、今を逃したら二度と仔猫に会うことはできない。 到底取…
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アメショーブログ 4824『九匹の猫と生きた二十年』62

(9/17) 「何であの子だけ・・・。かわいそうだよ」 「仕方ないよ」 「あの子の行く末も分からない。生きているのか死んでいるのかすら、私たちは知ることもできない」 私はまくし立てた。 「モモのもう一匹の仔猫の行き先がなくなって、うちで育てるしかないかもしれないのに。 何であの子だけペットショップに行かなきゃなら…
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アメショーブログ 4823『九匹の猫と生きた二十年』61

(9/16)  友人と別れた私は、夕食の買い物をするためにスーパーに寄った。 しかし何も食べる気にならず、何を買う気にもならなかった。 かつて四匹の仔猫たちを譲渡する直前の事を思い出した。 映画・南極物語を観ていた時の心模様が蘇った。 しかしあの時とは状況が違う。 既に仔猫はペットショップに置いてきたのだ。 …
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アメショーブログ 4822『九匹の猫と生きた二十年』60

(9/15)  私は、カウンターに置かれた生まれたばかりのモモのことを思い出していた。 その姿に、先刻置いてきた仔猫が重なる。 カウンターに並んだモモともう一匹の姉妹を前に、同伴した彼女はもう一匹の方を選んだ。 しかし私はモモを指名して、我が家に連れて来たのだ。  私は運ばれてきたコーヒーを一口啜った。 味など何…
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アメショーブログ 4821『九匹の猫と生きた二十年』59

(9/14)  私は気を紛らわそうと、友人を呼びだした。 ジロが大好きな友人だ。 彼女はほどなく現れ、私たちは馴染みの喫茶店に入った。 「別れは辛いね」 私の情けない顔を見て、彼女は言った。 「今日の夜にはあの店から他の店に移されるんだって」 「そうなの。あの店に置かれるわけじゃなかったのね」 彼女は少し驚い…
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アメショーブログ 4820『九匹の猫と生きた二十年』58

(9/13)  数回のコール音の後に、受話器の向こうで女性の声がした。 先ほどカウンターにいた女性だろうか。 「今日そちらにアメリカンショートヘアーの仔猫をお譲りした者ですが」 私は発した言葉に我ながらげんなりした。 だから何だというのか・・・。 「ありがとうございます」 電話の女性は丁寧に応対してくれた。 …
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アメショーブログ 4819『九匹の猫と生きた二十年』57

(9/12)  駅へと向かう道中、私の目から涙が溢れ出た。 電車に乗っても涙は止まらず、窓際に立って外を向いた。 つい先刻仔猫と共に乗った電車に一人揺られながら、五月晴れの空を眺めた。 青い空、爽やかな風・・・。 仔猫と共に感じた全てのものを、もう二度と共有することはない。 私の決断は、仔猫を幸せにするのだろうか…
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アメショーブログ 4818『九匹の猫と生きた二十年』56

(9/11)  連れてきた仔猫は、このケースの外側から誰かに見初められるのだろうか。 かつて娘がクーを選んだように。 どうか良い人に選ばれて欲しい、幸せになって欲しいと心の中で祈りながら、私はカウンターの上にキャリーを置いた。 キャリーから出てきた仔猫は、店のカウンターに立って私を見た。 訴えるような強い眼差しを私…
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アメショーブログ 4817『九匹の猫と生きた二十年』55

(9/10)  ペットショップは自宅から電車で二駅の場所にあった。 仔猫にとっては外の世界も他の人間も電車も初めてのことばかりだ。 駅への道のり、そして電車の中でも仔猫は泣くことはなかった。 しかし車中では、キャリーの蓋に頭突きを繰り返した。 ここから出せと言わんばかりに。 下車して街中を七分ほど歩いたが、その道…
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アメショーブログ 4816『九匹の猫と生きた二十年』54

(9/9)  朝のごはんは、仔猫の大好きなレトルトをたくさん与えた。 我が家で食べる最後の食事だ。 好きなだけ食べさせてやりたかった。 モモの仔猫のうち、一匹は酒屋さん、そしてもう一匹は我が家の子となる可能性が大きい。 たとえ不測の事態だとしても、ウミの仔猫だけがペットショップ行きという展開に、私は納得できない思い…
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アメショーブログ 4815『九匹の猫と生きた二十年』53

(9/8)  ウミの仔猫をペットショップに譲渡する日の朝を迎えた。 モモの残された仔猫の行き先は決まらないままだった。 前日の電話で白紙となって、私には成す術がなかった。 もはや友人、知人の中で里親を探すことはできないと分かっていた。 残された一匹は我が家の子として育てることを、私は考え始めていた。 それしか方法…
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アメショーブログ 4814『九匹の猫と生きた二十年』52

(9/7)  私は娘の友人のお母さんに告げなければならなかった。 「末のお嬢さんが猫アレルギーと分かった以上、仔猫をお譲りすることは控えたいと思います。とても残念ですが」 彼女は電話の向こうで、落胆しながらも同意した。 仔猫と共に暮らす生活を、本当に心待ちにしていたのだ。 しかし健康には代えられない。 当然の結論…
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アメショーブログ 4813『九匹の猫と生きた二十年』51

(9/6)  娘の友人のお母さんから電話があったのは、仔猫の受け渡し予定日の前日のことだった。 そのご家庭は四人兄弟姉妹で、娘の友人は三番目の女の子だった。 一番末の女の子は小学生の低学年だったが、念のために病院で検査した結果猫アレルギーと判明したのだ。 どうしましょう、とお母さんは困った声で相談の電話をしてきたのだ。 …
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アメショーブログ 4812『九匹の猫と生きた二十年』50

(9/5)  ランボーが抜け、二匹となった仔猫は付かず離れずの距離で過ごした。 かつてのジロとタロのような関係にはならなかった。 結果として九匹の一族と共に過ごすことになるのだが、ジロとタロのような一心同体の関係は稀なものだったのだと改めて思う。  母親の違う兄弟となった二匹だが、先に生まれたモモの末っ子はまるで弟の…
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アメショーブログ 4811『九匹の猫と生きた二十年』49

(9/4)  私はかつて仔猫たちを譲渡するはずだったペットショップに連絡を入れた。 ウミの仔猫だけをペットショップに託すのは断腸の思いだった。 しかし、もう選択の余地はなかった。 オーナーは、人気の高いアメリカンショートヘアの仔猫ならと喜んで応じてくれた。 既に生後三カ月を経過していた。 すぐにでも店頭にお持ち下…
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アメショーブログ 4810『九匹の猫と生きた二十年』48

(9/3)  約束の生後三カ月が過ぎた晴れた日、酒屋のお兄さんが新調したキャリーを持ってランボーを引き取り来た。 「大切に育てます。本当にありがとうございました」 そう言って酒屋のお兄さんは、ビールとジュースのケースをお礼にと置いていった。 一族総出でランボーを玄関で見送った。 仔猫の初めての巣立ちに寂しさを拭うこ…
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アメショーブログ 4809『九匹の猫と生きた二十年』47

(9/2)   ウミの産んだ仔猫の里親だけは、私の楽観に反して見つからなかった。 当たりを付けていた三人の知人たちが、揃って断ってきたのだ。 かかりつけの動物病院にも、里親探しをお願いした。 病院の掲示板には、たくさんの猫たちの写真と共に里親を募る貼り紙があった。 里親探しは縁ではあるものの、待機数の多さに驚いた。…
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アメショーブログ 4808『九匹の猫と生きた二十年』46

(9/1)  酒屋のお兄さんが配達にやって来た。 猫を引き取る準備は既にできていると、嬉しそうに話した。 モモの産んだ二匹の仔猫を比較検討した彼は、身体の大きな仔猫を貰い受けたいと私に告げた。 私は承知して、残りの一匹を娘の友人宅に譲ることにした。 酒屋のお兄さんは、既に仔猫の名前を決めていた。 我が家に来るたび…
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