アメショーブログ 4785『九匹の猫と生きた二十年』23

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 しかし私はまだ諦めるには早いと思った。
やるだけやって駄目なら、仔猫たちも赦してくれるだろう。

仔猫を母猫から早期に引き離す不憫さが、最大の理由だった。
しかしその時の私には、仔猫を譲渡することに賛成できないもう一つの理由があった。

エビちゃんの嫁入りが失敗に終わったから、モモを買ってきたのだ。
将来は、クーとモモと、その間に生まれる何匹かの仔猫たちと共に暮らすつもりでいた。

想定外のウミが我が家にやってきた。
頭数が多くなり、クーとモモの仔猫を譲渡することを、心が了解できなかった。

「四匹の中から一匹を選ぶことなんかできない。それに、この子たちはモモが大好きなんだよ。まだ母親が必要なのに、引き離すことなんかできないでしょう」
私はまくしたてた。

「人間の、商売の都合で母猫と仔猫を引き離すなんて、私には納得できない。生後三カ月過ぎては売り物にならないと言うなら、うちで育てようよ。クーとモモの子どもは全部うちの子だよ」
夫は黙り込んだ。

『南極物語』の前半はほとんど覚えていない。
画面を目で追っていても、私の頭の中は仔猫たちのことでいっぱいだった。

段ボールの縁から転げ落ちた仔猫たちを、私は機械的に中に入れていた。
何度目かの転げ落ちの後、夫は仔猫たちを全て家に残すことを了解した。

「ありがとう」
私の目から、涙が溢れた。

「みんな、うちの子だ!」
私は仔猫たちに声をかけた。

「名前を決めなくちゃ。男の子たちはタロとジロだ」
テレビの画面では、『南極物語』がクライマックスを迎えていた。
タロとジロが南極の氷の中から走り出てきた。

「タロとジロ、ずっと一緒だよ」
私はたった今命名した二匹の雄猫に話しかけた。

クー一族から幾度も感動の涙をもらったが、この日の歓びは五本の指に入るだろう。
お間抜けタロの口からは、相変わらず舌がはみ出ていた。

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この記事へのコメント

2019年08月09日 09:37
こんにちは

うう。。。
感動。。。
2019年08月09日 10:21
おはようございます
可愛いわが子に
名前の命名するともう
離れない離さない大事な家族になりますね\(^o^)/
タロちゃん、ジロちゃんは
南極物語から頂いのですか(^_-)-☆
くー
2019年08月09日 11:35
トトパパさんへ。
ありがとうございます。
いつもコメントをいただき、感謝です。)^o^(
私の執念で、仔猫たちは我が家の子になりました。
くー
2019年08月09日 11:36
陸&クロさんへ。
ありがとうございます。
ようやく仔猫たちに名前を付けることができました。
ジロとタロは、南極物語の犬のように末永く仲良く生きてほしいと願い命名しました。)^o^(
きらら
2019年08月09日 14:56
くーさん!感動しました!
モモちゃんから子供たちを引き離せませんよね!
それにしても、タロちゃんはこの時も いい仕事しましたね〜〜(≧∀≦)
また次回も楽しみです)^o^(
2019年08月09日 15:36
こんにちはo(*^▽^*)o~♪
私も3ヶ月は親と一緒にいる派?なんです。
子供の時はお母さんが必要。
それはお母さんにも言えること
小さな子から沢山のことが学べます。
くーさん凄いですよ。
感動です。゚(゚´Д`゚)゚。
くー
2019年08月09日 19:02
きららさんへ。
ありがとうございます。
モモは本当に素晴らしい母親でした。
モモの了解なく、仔猫をどこかへやるわけにはいきません。
舌出しお間抜けタロは、ジロなくしては元気に生きていけなかったでしょう。)^o^(
くー
2019年08月09日 19:07
みるくっちさんへ。
ありがとうございます。
子どもには母親が必要、人間も動物も同じですね。
モモは素晴らしい母親でした。
子どもたちもみんなモモが大好きだったので、引き離すことはできませんでした。)^o^(